分散の導出

このページの解説は、確率変数期待値について理解していることを前提としています。もしそうでなければ、背景を一読ください。

期待値の公式

期待値は、大文字 \( E \) で表記されます。

確率変数 \( E(X) \) の期待値は、確率変数の平均値と等しくなります。

\[ E(X) = \mu_{X} \]
ここで、 \( \mu_{X} \) は確率変数の期待値

ここでは、基本的な期待値の公式について説明します。

公式 備考
1 \( E(X) = \mu_{X} = \Sigma xp(x) \) \( p(x) \) は \( x \) の確率 (離散系)
2 \( E(a) = a \) \( a \) は一定
3 \( E(aX) = aE(X) \) \( a \) は一定
4 \( E(a \pm X) = a \pm E(X) \) \( a \) は一定
5 \( E(a \pm bX) = a \pm bE(X) \) \( a \) と \( b \) は一定
6 \( E(X \pm Y) = E(X) \pm E(Y) \) \( Y \) はランダム雑音
7 \( E(XY) = E(X)E(Y) \) \( X \) と \( Y \) が独立の場合

ここでは、これらの公式の証明は省略します。

分散

分散は次の式で与えられます。

\[ V(X) = \sigma_{x}^2 = E(X^2) - \mu_{X}^2 \]

ここで、 \( V(X) \) は \( X \) の分散

証明

備考
\( V(X) = \sigma_{X}^2 = E((X - \mu_{X})^2) = \)
\( E(X^2 -2X\mu_{X} + \mu_{X}^2) = \)
\( E(X^2) - E(2X\mu_{X}) + E(\mu_{X}^2) = \) 公式5を適用: \( E(a \pm bX) = a \pm bE(X) \)
\( E(X^2) - 2\mu_{X}E(X) + E(\mu_{X}^2) = \) 公式3を適用: \( E(aX) = aE(X) \)
\( E(X^2) - 2\mu_{X}E(X) + \mu_{X}^2 = \) 公式2を適用: \( E(a) = a \)
\( E(X^2) - 2\mu_{X}\mu_{X} + \mu_{X}^2 = \) 公式1を適用: \( E(X) = \mu_{X} \)
\( E(X^2) - \mu_{X}^2 \)

位置の分散の予測

時間と速度に関する位置の分散は次のように表される。

\[ V(x) = \Delta t^{2} V(v) \] または \[ \sigma_{x}^2 = \Delta t^{2} \sigma_{v}^2 \]
ここで、
\( x \) :物体の位置
\( v \) :物体の速度
\( \Delta(t) \) :時間間隔

証明

備考
\( V(x) = \sigma_{x}^2 = E(x^2) - \mu_{x}^2 = \)
\( E((v\Delta t)^2) - (\mu_{v}\Delta t)^2 = \) 時間と速度に関する位置の分散は、\( x = \Delta tv \) のように表現される。
\( E(v^{2}\Delta t^{2}) - \mu_{v}^{2}\Delta t^{2} = \)
\( \Delta t^{2}E(v^{2}) - \mu_{v}^{2}\Delta t^{2} = \) 公式3を適用:\( E(aX) = aE(X) \)
\( \Delta t^{2}(E(v^{2}) - \mu_{v}^{2}) = \)
\( \Delta t^{2}V(v) \) 分散の公式を適用:\(V(X) = E(X^2) - \mu_{X}^2 \)
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